ACLは罰ゲーム?
いつの間にか、Jサポネット民の間で『ACLは罰ゲーム』というフレーズが使われるようになっている。
が、あれは10年前に自分がブログで『A3は罰ゲーム』というタイトルで記事を書いたのが始まりだ。
今年ACLに出ているわがマリノスは、ACLのグループリーグを突破すれば11連戦というスケジュールだったわけだが、当時のスケジュールはそんなもんではなかった。
例えばA3とACL。
日曜日に上海でA3を戦い、火曜日に三ツ沢でACL、翌日の水曜日にまたA3のために上海に戻り、日曜日に上海で連戦・・・つまり国をまたいで週4試合などというとんでもないスケジュールが組まれていたのである。
しかもACL出場チームにナビスコカップの予選も免除されていなかったため、2004年はこんなとんでもないスケジュールになっている。
当時の岡田監督は、こんなスケジュール(特にA3とACLのバッティング)の試合なんかできません(当たり前)と、出場辞退を強く申し入れていたが、A3の冠スポンサーがよりによって日産だったため、どうしてもフルメンバーで出場しなければならなくなったのである。
1週間で4試合、しかも上海の試合の翌日に日本で試合という、いいかげんすぎる日程のため、当時の岡田監督は苦肉の策をとる。
上海のA3には主力を出場させ、翌日の三ツ沢のACLには自分だけ日本に帰ってきて指揮をとり、出場選手はBチーム半分とユースの選手で戦ったのだ。
今のようにユースの状況が詳しくなかった時代である。
急遽あてがわれた背番号なので誰が誰かもわからず、応援する側すらも選手名もほとんどわからないという始末。
(これほどまでにユースの情報が普通のマリサポまでに伝わりだしたのは、ひろあきがユースの応援をはじめた2007年頃からの話で、当時ここまで詳しいのはごく一部。)
それでもベトナムのチームには4-0で勝ったわけだが、実はこの試合がこの年のACLの命とりになる。なんと2004年のACL最終戦でマリノスは得失点差で出場を逃してしまうのである。
そんなわけで、こんなバカバカしい日程でスポンサーのために出場するハメになったA3のおかげで、アジアチャンピオンへの道を逃したことになり、それをさして『A3は罰ゲーム』となったわけである。
当時、自分のブログはたくさんのJサポに面白おかしく扱われて、広く読まれていたので、これを見た磐田サポが翌年のマリノス戦で『罰ゲームだけど俺らも出たい』という横断幕を出して、さらにこの「罰ゲーム」というフレーズが広まったわけだが、いつのまにかネット上ではA3ではなく、ACLが「罰ゲーム」となってしまったわけである。
ていうか、重要だろACL。
そして、時代は変わった。
ACLのアウェイのインドネシアに自分と一緒に出かけたサポーターは4人だけ。ベトナムも6人ぐらいだけだった。
それが広州には300人近くが集まっていた。
A3の中国は、Cリーグの八百長騒動の余波で観客はガラガラ。まだ反日騒動の余波が残っていたため、警備は公安(中国の警察)ではなく軍隊だった。
それが広州は平日の試合なのに5万人が集まるアウェイになっていた。
強烈なアウェイだったが、審判は公平だったし、そして何よりも相手の監督はリッピである。中国のクラブチームにあっさり敗北する状況など、10年前には誰も想像してなかったこと。なお、広州の年間予算は100億超、マリノスの30数億の3倍以上。
わがクラブは、中国公安の指導により、厳戒態勢でマリサポをホテルとスタジアム間で警備送迎したが、自分はその試合のあとに広州のコアサポーターグループと呑んでいた(別稿にて)
みなマリサポは今回のACLで悔しい思いをしたかもしれない。
だが、自分としてはよくがんばったと思う。
サッカーの勝敗の92%は年俸総額で決定する。(「ジャパンはなぜ負けるのか -経済学が解明するサッカーの不条理-)
広州のリッピの年俸はひとりで10億円だ。彼ひとりでマリノスのスタメン全員の年俸を出して、まだお釣りが出る。Jリーグはまだ牧歌的であるから、チームのメソッドで経営数値以外の面で順位を確保することができる。だが、世界に出るとそれはまた別の話だ。
10年前のACL、2004年シーズンのマリノスのスタメンは、錚々たる各国の代表メンバーがしのぎを削っていた。
久保、松田、中澤、アン・ジョンファン、ユ・サンチョル。思い返すに強烈すぎるメンバーだ。
柳想鐵
自分も年老いた。当時はどんな困難があったとしても、そして応援するサポーターがいないというならばそれだけ自分が駆け付けなければと思ったものである。
ACLは当時のメンバー構成からして、どうしても勝たなければならない試合だった。それだけにA3は罰ゲームとなったわけなのだ。
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