新横浜御用牙2011

2019年9月
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「勝てるチームはフロントやサポーターやボランティアなど、そこに関わる全員が全力を尽くすチームだ」
(岡田武史)

「ファンはお金を払って感動を買う。サポーターはチームとともに闘う中で感動を得る」
(岡田武史)

「より努力する人間こそ、人に対してがんばれ、といえる」
(東京大学応援部物語)

「応援する人間は、応援される人間より強くなければならない」
(東京大学応援部物語)

"Look if you like, but you will have to leap"「見るまえに跳べ」
(大江健三郎)

「オレがやってやるって気持ちが大事さ」
(ULTRA YOKOHAMA)

「哲学者は世界を様々に解釈してきた。しかし肝心なのはそれを変えることである」
(K.Marx)

~「戦う」というのは、別にゴール裏で跳んだり跳ねたりすることだけじゃない。現代サッカーは総力戦だから、どんなに小さなことでも、これが最高の場所にたどり着くまでの地道なプロセスなんだ、と信念をもって、能動的に動いていくこと全てが戦いである。 (横浜御用牙)

2019年7月14日 (日)

10年前の横断幕の話

 

10年以上前の話なので、サポーターのローテーションからすると、ひと昔どころではないんだろね。

自分の経験からすると、サポーターは3年ぐらいで何割かがローテーションします。学校とか仕事の関係があるからだろうけれど、そのローテーションを何回か繰り返すと、全体の半分くらいは入れ替わってしまう。それぐらい移り変わりは早いです。その証拠に、自分のことなぞネットの悪評くらいでしか知らない、またはそれすらも知らないというゴール裏のマリサポの方が今やほとんどではないでしょうか。もちろん知らなくても何一つ困ることはありませんが。

そんなわけで、今日はちょっと昔話をしてみようかと。まあジジイの話なので、話半分にでも聞いてくださいな。

 

まずは浦和サポの話から。

今もそうなのだが、浦和のサポは強烈で、そのパワーは10年くらい前がたぶんピークだったと思う。それは観客動員もそうですが、様々な意味でのパワーでもそう。

チャンピンシップで埼玉スタジアムに行ったら『生きて帰れると思うなよ』という大書された赤い横断幕が、わざわざマリサポの待機列に掲げてあったような時代です。殺伐としていたし、まあそれもオレにしてみれば楽しみのひとつだったというのは、ロートルのしょうもない自慢話みたいなものなので軽く流していただきたい。

今日もニッサンスタジアムの浦和サポも、往年の動員からすれば6-7割というところかな。まあ、そんな感じで、たいへんだったわけですよ。

そしてたいへんなのはマリノスの運営もシミスポも、オレたち以上だったわけですな。

要するに彼らをコントロールできないのですわ。

 

10年前のある試合。浦和サポがアウェイゴール裏だけに収まり切れず、バックスタンド二階の自由席側まではみ出してきて、バクスタの右半分が赤く染まっていました。当時はよくある光景です。そこでまたやっかいなことが起きました。

どういうわけだか知らないが、そのバクスタ自由席にやってきた浦和のサポがマリサポが出した横断幕を剥がして、1階に落とし、そこに自分たちの横断幕を出したわけですよ。

でも、それをシミスポは止めなかった。

これはどうなっているんだとゴール裏から一部の有志のサポが抗議にいったが、ラチが明かない。

こちらから抗議にいったのは少人数。当時の浦和さんは血気盛んでありましたから、抗議に行ったマリサポは数倍の浦和さんの若集に囲まれていろいろボコられてしまう始末。

しかも結局、マリノスの運営とシミスポは、そこで起きた諍い(といってもまあ正直、昨日起きた乱闘騒ぎ?の数倍の規模ですよ)をまあまあとなだめるぐらいしかできず、結局横断幕はそのまま。マリノス側の主流派のコアサポも「まあとんがったヤツが抗議しにいったことだから」と、大人な態度で事を収めたわけですわ。

 

で、これで後日に叩かれたのは、マリノスの運営と当時の主流派のコアサポですよ。

まず、浦和サポの狼藉を止められない運営はどちらの味方なのかと。

それとコアサポの一部は、どう考えても悪いのは向こうさんなのにも関わらず、話をなあなあにして収めたと叩かれた。

横断幕を落として、向こうが自由席にまでやってきてこちらのサポを囲んでボコっているのに、なんでなあなあにするのかと。もちろん処分とかそんなのはありません。当時はそんな感じだったんですね。

で、その後遺症というのはしばらく続き、なんだかんだと一年くらいは尾をひきました。

クラブは誰の味方なのか?と。

 

ぶっちゃけ、これに似たようなことはいくつもあって、やっぱり基本的には浦和さんの圧と多勢に無勢で、こっちが被害にあっても向こうにはおとがめなし、そして結局やりたい放題にされてしまう・・・というのが、広くゴール裏のサポの間で認識として共有されていたんですね。

そんなわけで、その主流派の事なかれ主義(まあ今考え見ると大人な態度なんですけどね)に嫌気をさしたサポーターが、一緒にやってらんねと分裂応援になったり、クラブとサポ間の関係が険悪になって、様々な水面下の協力関係が解消されたり・・・というようなことがあったわけです。これはけっこうな事件でした。

 

さて、昨日の浦和戦。

昔みたいにこちらを圧倒するようなアウェイ遠征のサポはいないにしても、それでも迫力は段違い。コア部分だけなら、もちろんウチらより人数が多い。

そこで、また横断幕の話ですよ。

以上のような話を知らなかった人は、「またバカな連中が突撃していって大迷惑」「悪いのは浦和サポだが、それで緩衝地帯まで行ったマリサポはもっと悪い。厳重処罰せよ」「結局、チームに迷惑かけている」等々の感想が沸き上がるでしょう。それはわかる。しかしだね、ちょっと冷静に考えてみてほしい。

このネットが発達して、なんでもかんでも通報されたり、動画がまわっていれば人物まで特定されてしまうし、ちょっとしたことでも出禁になるようなご時世に、あんなにわかりやすくダメな行為をするのは普通に考えてリスク大きすぎね?

では、なんであんなことをしたのかというと、それは今からちょうど10年前にそういうことがあり、

・普通に放置しておけば、シミスポとマリノスの運営は浦和サポに対処しきれない
・それを見て見ぬふりするのは、同じマリノスサポに背信すること

そういう認識と、過去の経験が伏線になっていて、それがあるから行かねばならぬ・・・ということになったんじゃないかと思うわけですよ。

 

こういう認識は、もう10年以上マリサポやっている連中じゃないと知らんだろうし、またゴール裏周辺のサポじゃないと理解できないでしょうなあ。まああんまり理解できなくていいのかもしれませんが・・・。

 

もちろん、皆さんが言っていることはごもっとも。いくら相手さんがなにをしてきても、それに反撃したら負け。その通りでしょう。

しかしですね 「かくすれば かくなるものと知りながら やまむにやまれぬ 大和魂」 と吉田松陰センセですよ。過去の蓄積と認識からすれば、ここはどうしても動かねばならないというときはあるのですよ。もちろんそれは自己犠牲の精神と表裏一体なものでなければならず・・・。まあそれも含めて迷惑なだけかもしれませんね。とはいうものの、では黙って好きなようにやらせておけというのもね・・・。

そんなわけで、もういろいろ時代が変わってしまったんだなというのも感じていて、それもまたジジイはすっこんでおけというところが正解なんでしょうけれど、私は昨日の一件を責めるわけにはいかず、むしろ10年前のことを今になっても忘れていなかったという点において、みなさんには誠に残念なことでしょうけれど、すこし擁護したくなり、何年かぶりにこのブログを書いているという顛末です。

それと、もしまた一方的な処分が下されるのであれば、彼らのやったことは結果として間違った方向ではなかったのかな、とも付け加えて、またバクスタの後ろのほうへとこっそりとすっこんでいます。

 

 

2014年5月21日 (水)

マンチェスターシティとの資本提携(株式売却)の意味 -マリノスは事実上日本最初の多国籍企業クラブである

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横浜御用牙がクラブに先駆けてご報告したとおり(笑)、先日にマリノスの決算が発表になり、めでたくというかなんというか、日産による損失補てんが開始されることになりました。

クラブライセンス制度導入後の「三期連続赤字が止まった」という「快挙」もありましたが、サラリーマン諸氏には薄々おわかりの人もいるかと思いますが、すでに今期に別建て(経常外利益)がはいってくることがわかっていて、かつ来期もそうなるのであれば、嘉悦さんの単年度黒字の「勝利宣言」も正直いってあまり意味はありませんね(笑)

経常的な収支を明らかにするという意味で、従来の損失補てん(ようするに広告費名義の売上をもらってそれを補てんとする)のをしなかったというのは挑戦的なことかと思いますが、まあ、このへんにはいろいろカラクリがありそうな気がします。。。

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これをいろいろ見て行くと、賞金総額考えると、実はグッズ収入って前年ほど売れてないんじゃね?とか、入場料がこんなに増えているのはどういう意味なのか?とかいろいろ考えるところもあって、そのうちまとめようと思っていたのですが、6月に出る書籍のため、なにぶん現在多忙のため、落ち着いてからにしようと思っていました。

ところが、もっとビッグなニュースがやってまいりました。

これはマリノスのみならずの話ですので、なんとかまとめていきたいと思います。



なお、嘉悦さんになってから、毎年収支の発表は夏ぐらいに行うのが恒例となっていました。

なんでこんな時期に行うのか?これはさては横浜御用牙ですっぱ抜かれたからあわてて発表?などという全くもって自信過剰も甚だしいことを考えておりましたが(笑)、こういうことだったんですね。。。。

イングランド・プレミアリーグのマンチェスター・シティ(Manchester City)の持ち株会社、シティ・フットボール・グループ(City Football GroupCFG)が、Jリーグ1部(J1)の横浜F・マリノス(Yokohama F Marinos)の株式を一部取得し、海外企業として初めてJリーグクラブへの大規模投資を行った。20日、日産自動車(Nissan Motor)とマリノスが発表した。

 マリノスの筆頭株主である日産自動車は声明で、今回のパートナーシップ提携は「横浜F・マリノスと日本の才能あるサッカー選手にとってグローバルな新しい機会となるもの」だと述べた。

 取引の条件については明らかになっていない。

 声明によれば、このパートナーシップによって、過去にJ1を3度制しているマリノスは「CFGのトレーニング方式、メディカルケア、スポーツサイエンス、チームマネジメント、コーチングのノウハウを利用」できるようになる。

 CFGはすでに、今季のプレミアリーグを制したマンチェスター・シティ、オーストラリア・Aリーグのメルボルン・ハート(Melbourne Heart)、米メジャーリーグサッカー(MLS)のニューヨークシティ・フットボールクラブ(New York City Football ClubNYCFC)などの株主として世界規模のネットワークを作っている。

 日産のカルロス・ゴーン(Carlos Ghosn)社長兼最高経営責任者(CEO)は、「今回のパートナーシップは、横浜F・マリノス、そのホームタウン、さらに日本のサッカーの成長に貢献するものとなるでしょう」と述べている。(AFP)

おお!マンチェスターシティ!と普通の方なら驚きが先にたつのですが、正直自分は第一報を聞いたときには、またですか・・・と思ったことを正直に告白させて頂きましょう(笑)

というのも、Jリーグのチームの海外クラブチームの提携というのはよくある話で、実際マリノスも2008年にフランスのオリンピック・リヨンと業務提携を行っているんですね。

マリノスは一昨年のサイトリニューアルの時に、過去のニュースを全部削除(!) してしまいましたので、J's Goalから引用すると・・・

この度、オリンピックリヨン(フランスリーグ1部)と横浜F・マリノスは、サッカーの発展ならびに強化、スポーツ、教育、文化の各領域における協同及び友好促進を目的とした業務提携を締結する運びとなりましたのでお知らせします。

≪主な連携の内容≫
1.技術および知識習得のための人的交流の促進
2.サッカーに関する経験と情報の共有
3.サッカー関連領域や文化交流における良好な関係促進 (J's Goal)

で、何があったかというと・・・なにもなし(笑)

そんなわけで、またこんな話なのかな・・・と思ったわけです。

でも記事をよく読むと、「株式を一部取得」とも書いてある。

しかし、これでもまたすぐに思い出しました。

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横浜マリノス株式会社は26日、2月1日付で第三者割当新株発行(増資)を行うことを発表した。今回の増資は、より横浜に根付いたクラブ創りと、横 浜のホームタウン強化を図る為に地元横浜の地元企業7社(相模鉄道株式会社、株式会社崎陽軒、タカナシ乳業株式会社、株式会社神奈川新聞社、株式会社テレ ビ神奈川、横浜信用金庫、株式会社サカタのタネ)よりそれぞれ6株(額面5万円)の出資を受けるもの。現在、日産自動車株式会社が572株を保有し資本金 は2,860万円のところ、増資後は、614株で資本金は3,070万円となる。(ヨコハマ経済新聞)

この記事によると各企業6株ずつの額面5万円で、第三者割当増資ですから1社あたり30万円、合計で210万円しかマリノスにはメリットがありませんでした。

この増資は地域に根ざすクラブチームをつくりあげる目的のもので、株主として地元企業に経営にタッチしてもらうという意味あいにすぎません。とはいうものの、合計でも7%程度なので、まあなんというか、形式的なものですよね。

なので、上記の記事を読んでも、まあそんな感じで、マンチェスターシティと資本提携といってもねえ・・・とやりすごそうとしていました。

ところが、実態が少し明らかになりました。

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サッカーのイングランド・プレミアリーグの強豪、マンチェスター・シティーを傘下に持つシティー・フットボール・グループ(CFG)がJリーグ1部(J1)の横浜F・マリノスに19.95%出資する。横浜Mの筆頭株主・日産自動車が20日、発表した。Jリーグのチームに外資系企業が本格出資するのは初めて。

  マンチェスターCは2008年にアラブ首長国連邦(UAE)の投資家グループに買収されてから「世界で最も裕福なクラブ」といわれるまでになった。この資 本提携を機に日本代表の香川真司選手が所属するマンチェスター・ユナイテッドなどに後れをとっているアジア進出を加速させる。(日本経済新聞)

さすが日経です!ヘタレなスポーツ系メディアが突っ込まないところをちゃんと押さえています。なお、神奈川新聞では、「20%以下の資本参加」と書いてますが、このへん神奈川新聞突っ込み不足です。ダメダメです。

そういうわけで、このマンチェスターシティの持ち株会社であるシティー・フットボール・グループ(CFG)の資本提携というのは、日産から19.95%の株を売却した完全に本格的なものということがわかりました。

まず、この資本がマンチェスターシティの持ち株会社が参入したという意味ですが、まずこのシティー・フットボール・グループ(CFG)というところから考えてみましょう。

シティー・フットボール・グループ(CFG)、名前はこうなっていますが、海外サッカーに詳しい方ならご承知のとおり、実態はAbu Dhabi United GroupというUAEの投資会社のことです。

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オーナーはシェイク・マンスール・ビン・ザーイド・アル・ナヒヤーン・・・長いですね(笑) 以下、「マンスール」で。

 

マンスールはUAEの王族の一員で、現在UAEの国務省の長官で副首相。妻2人。趣味は競馬。

なお、彼がオーナーを務めるこの投資会社は、UAEの投資庁(そんなのがあるのがスゴイ)の傘下にあります。

で、このマンスールがCFGを使ってマンチェスターシティをどんな風にしたかというとコチラ。

買収してからの3年間は、毎年100mポンド以上を投資していることがわかる。
2012/13シーズンは、FFP(ファイナンシャル・フェアプレー)の事も考え、投資額が減少したが、54mポンドを投資した。 (マンチェスターシティのビジネス戦略)

100Mポンドって、約170億円。これ移籍金額だけです。マリノスの2013年度の選手人件費がちょうど同額の17億円です。ようするに毎年マリノス10チーム分の選手を毎年新たに獲得としてるってことです・・・。

いやー、これは夢がふくらむ(笑)

で、基本的にこんな投資をしているというのは、別にオイルマネーでサッカー三昧の遊びをやろうとしているわけではありません。マリノスを新しい彼らのコンテンツとして売りだして、放映権やグッズ販売とかで回収することが一応の目的です。そのために強くならなければならない、と。

持ち株比率19.95%というのは大きい数字です。それなりに経営に参画してくる可能性は大ですので、いろいろあるでしょう。

ちなみに、勘違いしている人もいるみたいなので書いておくと、この「資本提携」(というか性質上「株式売却」といったほうが正確です)で、マリノスには現時点でなにひとつお金ははいってきてません。儲けたのは日産です。

さて、この資本提携(株式売却)の日産側の狙いは何か。

まず、単純に株式売却益でしょう。間違いありません。日産が保有572株から、他社あわせて614株のうちの19.95%になる120株(額面60万円分)をUAEの投資会社に売り払ったというのが、この「資本提携」の実情で、いったい1株いくらで売ったのか、大変気になるところです(笑)

CFGがどのような評価をしているかはわかりませんが、Jリーグのオリジナル10にはいる名門クラブであり、しかも昨年は天皇杯を優勝しているというところを考えると、日産はかなりうまくやったような気がしてならないです。

日産は、マリノスからの発表どおりならば、昨年と今年で17億円以上のマリノスの損失補てんを行うことになりますが、もしかするとそれ以上の金額をこのCFGでの売却で得ているかもしれません・・・というか、してそうですね(笑)

今度どの程度CFGが、マリノスの経営にタッチしてくるかは不分明ですが、これまでの「業務提携」や「資本提携」とは全く違うものになるのは間違いないかと思います。

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さて、サッカー批評で自分が書きました嘉悦社長のインタビューを思い出してもらえますでしょうか。

自分はこんなことを嘉悦社長に聞いています。

そもそも日産の業績にこれほどまでに左右される環境こそ、脱皮しなければならないのではないか?長期的な視座にたってみれば、そもそも日産の業績にこれほどまでに左右される環境そのものが、脱皮しなければならいことなのではないかと。
横浜マリノス株式会社の資本構成は93%が日産。現代のプロスポーツチームの資本ポリシーに比較すると古色蒼然とした企業スポーツチームのそれだ。
これにも嘉悦は断言した。

「変えます。変える意思を持っています。」
これにも嘉悦は断言した。
「動きはゼロではないです。(現在の日産の持ち株比率)93%は異常だ、とも思っています。それは私に課せられた使命だと思うし、それを粛々と進めていくつもりです。ほぼ一社独占というのはヘルシーではないですよね。日産の経営によりフラフラとしてしまうのは……」
もし、前述の嘉悦『コミットメント』のように、「過度の日産依存をやめる」のであるとすれば、現在の累積損失の解消は正直難しいと予想する。もしかすると、クラブライセンス制度の導入までに何かがあるのではないか。(サッカー批評60号)

これを聞いた背景は2つあります。

ひとつは誌面でも書いたとおり、マリノスタウンの定期借地権について判断するのが時間の問題であること。これつにいてはコチラで詳しく書きました。

なお、このマリノスタウンについては、コチラで最近の情報がまとめられています。

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これについて自分が付け加えるとしたら、ここには野球スタジアム、つまり「横浜ドーム」ができる公算が高いこと。

横浜ドーム球場構想は京急をはじめとするJVが執念深く活動し続けており、以前からあそこの土地は狙っている情報が流れてきています。

(現在のハマスタは
地権関係が複雑すぎて、横浜市もベイ側(この当時はTBS)もドーム構想をここでというのにはサジを投げていた。また賃料も他のスタジアムよりかなり高額と聞いています。そのため、新球場に移転することはいろんな意味でベイスターズには意味があるのです)

ちなみに横浜市はあの巨大要塞のヨココクがあるかぎりは、サッカー場転換可能なスタジアムなどはつくらないでしょう。そんなことするなら稼働率あげろ!って話ですから。あのクソスタジアムが実は姉葉物件だった!という真実でも発見されないかぎり、あと20-30年はあのスタジアムでがまんするしかなさそうです・・・。

話を戻すと、そのマリノスタウンを賃借期限の2015年に移転するにしてもマリノスにはその費用がない。仮に、マリノスタウンのある61街区の計画が2020年代ということならば、その間のつなぎでしばらく契約延長というのはありそうですが、それにしてもいろいろと厳しい。

※ちなみに、マリノスタウンはおそらく2015年から暫定的に契約延長することが、たぶんすでに日産と横浜市との間では決定しているのではないかと推測してます。理由は今年はじめにIVI跡地をオーストラリアのソウトウエア企業のアトラシアンに賃貸したこと。考えてもみてください。今年貸して、来年移転しなきゃならないような物件をちゃんとした企業が借りますか?(笑) なお、マリノスタウンの施設一式は2014年まででしか使えないという前提で日産からレンタルされていますから、少しはこの賃借料は安くなるんじゃないでしょうかね。

ここでは書きませんが、マリノスタウンがつくられて、その賃借料が決められる経緯も、たぶんずいぶん日産の都合がはいっていると思います。これがつくられた当時の左伴社長(現湘南ベルマーレ専務)の皮算用とだいぶ違っているはずです。


さらに株式売却のもうひとつの意味は、これはサッカー批評の誌面では書きませんでしたが、本ブログでは何回か書いています。

それは、そもそも嘉悦氏が社長としてやってきたのかは、日産からの過度の依存をやめさせる云々というよりは、マリノスの株式をうまく売却しつつ、日産から事実上切り離すためにやってきたのではないかということ。

これは別にネガティプな意味ではありません。子会社をうまく軌道にのせて高値で株式を売り出してキャピタルゲインを得るのはよくある話ですから。

日本の少子高齢化は深刻です。子供を育てる環境を整備とかそんなことがいくら効果をあげても全くおいつかないレベルの話です。さらに、人々は車もそんなに買わなくなってきています。自動車産業にとって、もう日本はそんなにおいしいマーケットではないのです。今、車を売らなければならないのは、中国やロシアやインドネシアやアフリカ諸国という莫大な人口を抱えた経済的な新興国です。斜陽もいいところなのに国際社会の人口動態とかまるで理解してない人にはわからないでしょうが、日本にこだわっていては世界企業はもはや成り立たないのです。

そのため広告宣伝費もこれまでのように国内にまわすのは費用対効果が薄い。クラブチームの運営は宣伝費として支払われています。そうするとやはり後先考えると難しい。観客動員も若年層が減っていくことを考えると、サッカーの人気アップを打ち消すような状況です。

そうすると、いまどき93%も株式をもってクラブ運営するなど、企業としてむしろ不健全ということになるのです。

それならば、もっとパワーがある企業と一緒に資本を分け合い、経営参画させたほうがよろしい。もともと日産はすでに外資企業です。日産のグローバル本社の入り口には高々と旗が3つひらめいています。真中にフランス国旗、そして両サイドに日産社旗と日の丸です。そうです、日産はフランス国営企業であるルノーがオーナーのフランスの会社なのです。

ここにUAEのオイルマネーがはいったということです。

マリノスはもはや国内資本の会社ではないのですね。多国籍企業です。これが意味するところについては、またそのうち詳しく書きましょう。

まとめます。

今回の資本提携・・・というよりも日産によるマリノスの株式売却は、いい方向にすすむと思います。日産は巨大なキャピタルゲインをえて、たぶん損失補てんしたうえで利益まだ出した。さらにマリノスは世界有数のスポーツに理解があるUAEのファンドが資本参加した。

どこまでCFGがお金を払ったかはわかりません。ただし、日産と嘉悦社長にしてみれば、単年度黒字になり、さらには天皇杯優勝までしたこのタイミングは、もう株式を売り抜けるベストなタイミングだったと思います。

さらにCFGがどのように経営に参画してくるかはわかりませんが、それなりに手を出してくるものと考えています。いやー、むしろそうしてほしい(笑)

CFGからしてみれば、アジアの有数のクラブになり、今一生懸命Jリーグが放映権を売りだしているアジアのサッカーコンテンツビジネスのラインナップにマリノスがシティとともにはいってほしい。マリノスサイドも資金提供など含めて、様々な支援をCFGに要請するでしょう。

この動きが、自分が仮称している「アジアプレミアシップ」構想の先兵になってくれれば、J全体にもマリノスのファンサポーターにとっても良いことになります。

【参考】

マリノスの収益構造について
・(続)マリノスの収益構造について

2014年4月28日 (月)

【速報】決算公告:横浜マリノス株式会社三期連続赤字解消・累損解消まであと7億円

本日付の官報にて、マリノスの決算公告が公示されました。

2013年度の当期純利益が10億48千円(笑)ということになり、無事横浜マリノス株式会社の三期連続赤字が解消されましたので、マリノスオフィシャルに先駆けて横浜御用牙がご報告させて頂きます。

P/Lおよび今期の経営状況の振り返り、本年度の方針、また累積損失残り7億円にむけてのビジョンなどの詳細な説明につきましては代表取締役社長嘉悦朗より追ってご報告があるかと思いますので、そちらをご参照ください(笑)

Bs

※本日付『官報』より






日産自動車株式会社様、本当にありがとうございます(笑)

2014年度の累損解消まで、あと7億円。


【ご参考】

マリノスの収益構造について
・(続)マリノスの収益構造について

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2014年4月25日 (金)

ACLは罰ゲーム? 

いつの間にか、Jサポネット民の間で『ACLは罰ゲーム』というフレーズが使われるようになっている。

が、あれは10年前に自分がブログで『A3は罰ゲーム』というタイトルで記事を書いたのが始まりだ。

今年ACLに出ているわがマリノスは、ACLのグループリーグを突破すれば11連戦というスケジュールだったわけだが、当時のスケジュールはそんなもんではなかった。

例えばA3とACL。

日曜日に上海でA3を戦い、火曜日に三ツ沢でACL、翌日の水曜日にまたA3のために上海に戻り、日曜日に上海で連戦・・・つまり国をまたいで週4試合などというとんでもないスケジュールが組まれていたのである。

しかもACL出場チームにナビスコカップの予選も免除されていなかったため、2004年はこんなとんでもないスケジュールになっている。

     

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当時の岡田監督は、こんなスケジュール(特にA3とACLのバッティング)の試合なんかできません(当たり前)と、出場辞退を強く申し入れていたが、A3の冠スポンサーがよりによって日産だったため、どうしてもフルメンバーで出場しなければならなくなったのである。

1週間で4試合、しかも上海の試合の翌日に日本で試合という、いいかげんすぎる日程のため、当時の岡田監督は苦肉の策をとる。

上海のA3には主力を出場させ、翌日の三ツ沢のACLには自分だけ日本に帰ってきて指揮をとり、出場選手はBチーム半分とユースの選手で戦ったのだ。

今のようにユースの状況が詳しくなかった時代である。

急遽あてがわれた背番号なので誰が誰かもわからず、応援する側すらも選手名もほとんどわからないという始末。

(これほどまでにユースの情報が普通のマリサポまでに伝わりだしたのは、ひろあきがユースの応援をはじめた2007年頃からの話で、当時ここまで詳しいのはごく一部。)

それでもベトナムのチームには4-0で勝ったわけだが、実はこの試合がこの年のACLの命とりになる。なんと2004年のACL最終戦でマリノスは得失点差で出場を逃してしまうのである。

そんなわけで、こんなバカバカしい日程でスポンサーのために出場するハメになったA3のおかげで、アジアチャンピオンへの道を逃したことになり、それをさして『A3は罰ゲーム』となったわけである。

当時、自分のブログはたくさんのJサポに面白おかしく扱われて、広く読まれていたので、これを見た磐田サポが翌年のマリノス戦で『罰ゲームだけど俺らも出たい』という横断幕を出して、さらにこの「罰ゲーム」というフレーズが広まったわけだが、いつのまにかネット上ではA3ではなく、ACLが「罰ゲーム」となってしまったわけである。

ていうか、重要だろACL。


そして、時代は変わった。

ACLのアウェイのインドネシアに自分と一緒に出かけたサポーターは4人だけ。ベトナムも6人ぐらいだけだった。

それが広州には300人近くが集まっていた。

A3の中国は、Cリーグの八百長騒動の余波で観客はガラガラ。まだ反日騒動の余波が残っていたため、警備は公安(中国の警察)ではなく軍隊だった。

それが広州は平日の試合なのに5万人が集まるアウェイになっていた。

強烈なアウェイだったが、審判は公平だったし、そして何よりも相手の監督はリッピである。中国のクラブチームにあっさり敗北する状況など、10年前には誰も想像してなかったこと。なお、広州の年間予算は100億超、マリノスの30数億の3倍以上。

わがクラブは、中国公安の指導により、厳戒態勢でマリサポをホテルとスタジアム間で警備送迎したが、自分はその試合のあとに広州のコアサポーターグループと呑んでいた(別稿にて)







みなマリサポは今回のACLで悔しい思いをしたかもしれない。

だが、自分としてはよくがんばったと思う。

サッカーの勝敗の92%は年俸総額で決定する。(「ジャパンはなぜ負けるのか -経済学が解明するサッカーの不条理-)

広州のリッピの年俸はひとりで10億円だ。彼ひとりでマリノスのスタメン全員の年俸を出して、まだお釣りが出る。Jリーグはまだ牧歌的であるから、チームのメソッドで経営数値以外の面で順位を確保することができる。だが、世界に出るとそれはまた別の話だ。

10年前のACL、2004年シーズンのマリノスのスタメンは、錚々たる各国の代表メンバーがしのぎを削っていた。

久保、松田、中澤、アン・ジョンファン、ユ・サンチョル。思い返すに強烈すぎるメンバーだ。

柳想鐵
自分も年老いた。当時はどんな困難があったとしても、そして応援するサポーターがいないというならばそれだけ自分が駆け付けなければと思ったものである。

ACLは当時のメンバー構成からして、どうしても勝たなければならない試合だった。それだけにA3は罰ゲームとなったわけなのだ。















2014年4月12日 (土)

【ACLアウェイ広州恒大戦】 香港-広州最安値バスツアー続報

香港-広州バスツアーの続報です。

チケットは現地で大丈夫!ということでしたが、どうやらクラブ側がすべて管理する模様です。

※安全を考慮して、現地公安警察の指導により、マリサポは全員スタジアム入場前にどこかの広州のホテルに集められて、そこからバスでスタジアムに行くみたいです。

つきまして、申し訳ありませんが、マリノスの販売サイトからチケットを購入するようにお願い致します。

なお、香港から広州(マリサポ集合場所)までの直行バスツアーはまだ残席多少ありますので、よかったらご利用くださいませ。

» 続きを読む

2014年3月19日 (水)

松田直樹の追悼「チャリティー試合」にサッカー界から疑問の声

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週刊文春3/6号

ちょっと古いんですが、この試合、マリサポもたくさん行っていると思うので、抜粋しておきます。

結論として、あの試合は「チャリティー」ではないそうです。別に商売してやるのはいいと思いますけど。

 



中田英寿財団が協力「チャリティー試合」にサッカー界から疑問の声

「僕はチャリティのつもりで参加したのですが、これ本当にチャリティ?と疑問を持つところがいくつもありました」 こう首を傾げるのは、あるJリーガーである。

問題となったのは、1/12に群馬県で開催された「新春ドリームマッチ群馬2014 REMEMBER松田直樹」(主催:群馬県サッカー協会等)である。

2011年に急性心筋梗塞により34歳で急逝した群馬県出身の元サッカー日本代表・松田直樹の追悼試合として行われた。

(中略)

「入場料の一部をAEDの寄付に充てると発表されており、チャリティーマッチと報道するメディアもありました」(スポーツ紙記者)

この大会は、中田が代表理事を務めるTAKE ACTION FOUNDATIONが協力団体となっており、イベントの一部を取り仕切っている。

(中略)

試合で中田はゴールを決めMVPを獲得。「マツの友達として、今後もこのような活動が続いてほしい」とコメントとした。だが、実は今年の大会から一般社団法人松田直樹メモリアルが外されていた。

松田メモリアルは元チームメイトである安永聡太郎を中心に設立された団体で、松田の親族も相談役です。去年の大会では協力団体として参画し、選手選考やAED寄付を担当していた。ところが今年、彼らが外されTAKE ACTION FOUNDATIONだけが残った」

松田直樹メモリアル事務局は「我々が関わっていないと事は事実」と回答する。

参加した岡田監督の事務所は「チャリティという認識だった」と語る。だが、群馬県サッカー協会は「大会はチャリティではない」として、中田のギャラとは別にTAKE ACTION FOUNDATIONに94万円支払ったと説明した。

日本サッカー協会の小倉純二名誉会長はこう苦言を呈する。

「問題は中田というか、彼の事務所。彼らが以前チャリティ試合をしたときも、会計報告や手続きの問題があって、僕が文句を言ったことかありました。僕はチャリティーを商売にするということは間違いだと思う」

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